2015 CAF ネビュラ展
日程 | |
会場 | 埼玉県立近代美術館 地階一般展示室全室 (JR北浦和駅西口より徒歩3分) |
企画 | 1. 落語とトーク 三遊亭鬼丸師匠(※SMFと共催) ★ NACK5水曜日のパーソナリティーとしておなじみの落語家、三遊亭鬼丸師匠が現代美術に囲まれながらの一席、さてどんな話が飛び出すか。 →落語とトーク案内 ダウンロード(PDFファイル468kb) |
2. アーティストトーク ★展示会場で、作家自身が自分の作品について語ります。 |
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in せんだいの本展を顧みて
今回CAF.Nの協会展は、「埼玉に新しい文化の流れを」起こすべく始まった1971年の芸術の会から、はや44年となりました。当初から、開かれた展覧会として運営すること、組織としては決して上下の序列をつくらないこと、そのために実行委員会を主体として議論を重ね新企画の運営を試みてまいりました。公開審査による有望な新人の発見、現代美術を社会に問う運動体としてのシンポジウム開催等マンネリ化防止を図り、本展以外に特色ある地域での中規模展、さらに外国での企画展など、国際化の成果を広範囲に拡大し、展示にも外国籍作家が増加してまいりました。
特にCAFの作家主体の運営と、美術を通じ常に社会に問い続ける姿勢はユニークな活動として、主張と目的が理解され、優れた作家の参加が増加しました。またそのポリシーの認知とともに、展覧会中でのアートフォーラム、アートトーク、特別企画コラボレーション等をとりいれました。加えて参加メンバーの固定化を無くし、年ごとに組み替え、内外の現代作家の代表となるような人を特別ゲスト作家として招聘し、近年展示の質を高めることで、議論を深め内容のある21世紀の展覧会にふさわしいものにすべく努力しています。
埼玉県立近代美術館のリニューアル工事のため2013年2014年は本展を仙台で開催することになりました。'13年の「CAF.N展inせんだい」はメッセージ性の強い出品作、特に東日本大震災と原発事故を励ますものが多く、現代美術がどのような力を本当は持っているのか、初めてその力を示す展覧会となりました。「人間と自然」のテーマは制作にどのように生かされるか、仙台展の美術の役割を問うものとなり、永年CAF.Nを支援して頂いている評論家 金澤毅氏に「ひと山越えたCAF.N」ということでこれからのCAF.Nの活動に関わる貴重なアドバイスを受けることができました。アーチストトークも,いつもにない熱っぽいもので鑑賞者(地元)とのやりとりに激しく深いものを感じました。詩人・随筆家のアーサー・ビナード氏の講演は、高浜均氏(故)が頼んでいてくれた方で、大震災と原発被害の問題点を的確に指摘、2時間半を超える熱のこもった内容に参加者一同引き込まれました。会場の仙台メディアテークは伊東豊雄の建築の精神性と詩情性の広がりの中で各作品が如何に響きあうか、展示の効果が重要で、その計画は前から見学し、空間を生かしたプレゼンテーションを色々な方向から工夫しました。
'14年のinせんだい展では前茨城県近代美術館長・市川政憲氏が震災後の芸術の在り方、芸術の役割など「人間と自然」に関する問題を深く論考し、以下のような巻頭文を寄せられました。『自然と文明の対立の構図は一個の生命体として等身大の自然の細部と摺合せ、交感し自然の現在に立っての仮説を提示することこそが芸術の立ちようではないだろうか』。現代美術の状況を具体的に評論してもらった赤津侃氏ともどもレセプションに参加、交流していただきました。ゲスト作家 作間敏宏氏の暗室でのインスタレーションは、ほとんど津波で流されてしまった農家のビニールハウスが、作者の原風景とでもいえるイチゴ農園の失われた風景の追憶となって、人間の本源的な『治癒』をもたらす作品となりました。最初からの会員であった新井達夫氏(故)の『磯凪』『予兆』も2年連続の被災地へのオマージュとなっていました。また、地域参加型の劇団I'M(三木弘和 脚本・演出・作曲)によるパフォーマンスは作品群と舞踏集団のダイナミックなコラボレーションとなり鑑賞者も新しい形の美術鑑賞をしたことになりました。
'13年 '14年は事務局組織の改革直後であり、広報 企画 総務 出版 会計の各部が会員各自の意見を底辺から積み上げ、練り上げ、実行委員会を中心に透明性のある運営ができました。苦労の末「CAF.N展 in せんだい」を見事に完結することができたことは、各担当者、責任者の方々及び多大なご協力を頂いた東北在住の作家諸氏のお陰と、深く御礼申し上げるところです。
埼玉県立近代美術館での2015年のCAF.N展はN即ちNebula(ネビュラ)の意味と同じく、Contemporaryな現代の同時化現象を続けて螺旋的な星雲のように、個々の作家が新しいアートのエネルギーを放出して、表現し続けることでしょう。優れたゲスト作家の作品や、笑いと芸術のコラボとなる楽しい特別企画など、更なる発展が見られることと思います。
ネビュラの可能性
CAF.NのNはNebula(ネビュラ)の頭文字で星雲の意味、アートの交流が渦巻状に展開されることと、充満したアートのエネルギーが新しい時代に生きる人たちに届くことを願って名付けられました。
CAFは1978年以来、埼玉美術の祭典、第一次CAF、第二次CAF展と呼称を変更しながら、現代美術のコンセプトと表現の問題を社会に問う運動を展開してきましたが、現在これに加え、地域とアートの交流、さらに国際交流の方向性を中軸に位置づけ、活動の密度を高めていこうとしています。
それは、一極集中の進歩発展的思考に見直しがかかり、個人や地域の独自性が求められている現在、アーティストの自由で純粋な思考が、硬直化した地域の現状を打破する糸口を生み出せるかも知れないし、また、海外の異なる文化状況の中で創作された作品に接することによって、新しい時代のパラダイムを探すためのヒントを見付けることができるのでは、と考えるからです。
展覧会開催の歴史
1978-83 | 埼玉美術の祭典(6回) |
1984-87 | 現代美術の祭典(4回) |
1988 | 現代美術120人展(Pre-CAF) |
1989-91 | Contemporary Art Festival(CAF)(3回) |
1993-2003 | Contemporary Art Festival(CAF)(10回) |
CAF ネビュラ協会のプロジェクト
2004.11 | CAF.N協会創立展(埼玉県立近代美術館) |
2004.7 | アイスランド、日本現代美術展(アイスランド、ハフナルボルグ美術館)40作家参加 |
2004.11 | CAF.N協会創立展(埼玉県立近代美術館) |
2005.4 | CAF.N京都展(京都、ギャラリーそわか) |
2005〜12 | CAF.ネビュラ展(埼玉県立近代美術館) |
2006・08・10・12 | CAF.N横浜展(横浜市民ギャラリー) |
2006.4 | 2006CAF.N ミシガン展(ミシガン大学ギャラリー/アメリカ) |
2006〜11 | コンパレゾン展(グランパレ、パリ) |
2007.2 | CAF.N銀座展(東京・銀座、ギャラリー風) |
2007.5 | CAF.N松江展(島根県立美術館) |
2007・09 | CAF.N仙台展(せんだいメディアテーク) |
2008.4 | CONTEMPORARY ARTISTS OF JAPAN(ノースアリゾナ大学ギャラリー、USA) |
2008.5 | 2008 CAF.Nラトヴィア展(リーガ国立海外美術館、ラトヴィア) |
2010.11・12 | 2010 CAF.Nびわこ展(大津市歴史博物館) |
2011.5 | CAF.N金沢展(金沢21世紀美術館) |
2012.8 | CAF.N熊本展(熊本県立美術館) |
2012.11 | コンパレゾン展(グランパレ、パリ) |
2013.6 | CAF.Nびわこ展(大津市歴史博物館) |
2013.11 | CAFネビュラ展(せんだいメディアテーク) コンパレゾン展(グランパレ、パリ) |
2014.7 | CAF.N渋川展(渋川市美術館) |
2014.8 | CAF.Nびわこ展(大津市歴史博物館) |
2014.10 | CAFネビュラ展(せんだいメディアテーク) |
2015.6 | CAF.Nびわこ展(大津市歴史博物館) |
2015.11 | CAFネビュラ展(埼玉県立近代美術館) |