現代美術 2019CAF.N メキシコ展

2019 CAF.N メキシコ展

記録

■ 名称= Confluencia.Exploraciones visuales: Guanajuato-Saitama
■ 会期= 2019年8月12日〜9月13日
■ 会場= Galeri´a Polivalente y Galeri´a Jesu´s Gallardo, de la universidad de Guanajuato (グアナファト大学 ガレリア ポリバレンテ、ヘスス・ガ ジャルド)
■ 入場者=608名

【巡回展】
■ 会期= 2019年10月18日〜11月17日
■ 会場= Casa de la Cultura de Celaya, Galeri´a Jose Alberto Manrique (セラージャ文化館 ガレリア ホセ・アルベルト・マンリケ)

参加者

達和子・アレハンドロ モンテス サンタマリア・五嶋稔・アナ クラウディア ナヘラ アビラ・星晃・ アンタル トゥレホ ボレス・金原京子・アリアドナ ラポ ソ カストロ・岸上嘉世子・ベアトリス ガルバン サル ディエルナ・小金富美子・カルロス アンドレス アンギ アノ パントハ・百瀬裕明・ガブリエラ ナタシャ ガルシ ア ゴンザレス・長沢晋一・ハルラン ハスレル エストラ ダ マタ・野村直子・ウゴ アドリアン ウガルデ アレグリ ア・奥野由利・ハコボ フランシスコ セルダ デ レオン・ 大西房子・ヘスス アスピダルテ アルマゲル・大島由 美子・ジョセリン オヘダ ロドリゲス・佐藤淳一・オセ アルトゥロ カスタタニェダ オルティス・城下万奈・カレ ン マリアナ オブレゴン エルナンデス・田島和子・ル シア アルバレス マルティネス・植野智子・マリソル ゲレロ モラレス・山本和子・パウリナ ロメロ マルティ ネス・ゆうこゆう・ロヘル シィチム
合計36名

メキシコ展

概況

 Confluencia.Exploraciones visuales: Guanajuato- Saitama(日本語訳 合流点、探求的、視覚的、グアナファト、埼玉)で8月12日から9月13日までグアナファト大学ガレリアポリバレンテを会場にCAF.N会員とメキシコの若手作家中心の交流展が開催されました。
参加者として報告をいたします。会場のグアナファト大学は、世界遺産グアナファト市の観光名所になるほど有名で優美な外観を誇る大学でした 。階段が高くそびえ一番上からは美しい町並みを見ることができます。朝日を浴びた山並みにカラフルに建てられた建物は大変美しいものでした。
 12日に開催されたレセプションは盛大なものでした。長沢会員、星会員が紹介され、大学関係者、日本の関係者も見えました。この展覧会に対する期待が大きなものであることがわかりました。展覧会場満杯の観客に対して演奏が行われ観客が作品を興味深く鑑賞しました。多くの日本人作家は、観客と直接作品を介して交流したようでした。
 13日は、長沢会員と星会員による講義が美術学部で開催されました。夕方からの展覧会場では美術学部教授(土方巽の弟子)の舞踏パフォーマンスがありました。その後のアーチストトークでは、何人かの作家が沢山の観客と通訳を介して大いに交流しました。観客の質問に 思わず熱が入り、パフォーマンスで応対した作家もいました。
 街中にあるグアナファト大学政治学部は、山の斜面に建てられており吹き抜けの階段と講義室がいかにも大学らしく、伝統と学問を学ぶ場の空気を感じました。
 ワークショップの会場はトンネルを抜けて広大な自然の中にサボテンが点在する山の上にある近代的建築の美術学部で開催されました。野村直子会員による水墨画のワークショップが行われました。学生はとても明るく向学心に富んでいるように感じました。通訳を介しての説明に礼儀正しく真剣に聞き入り、自由な発想でかつ正確に技法を覚えようと墨と硯、筆の運びに集中していました。結果としてすばらしい作品が描かれ皆満足そうでした。その後、サンミゲルやメキシコシティでのテオティワカン神殿、人類学博物館等とても刺激的で楽しい体験もありました。
 この日本とメキシコの交流点が今度は日本で行われることを期待します。
 展覧会実施に当たられた、長沢会員、星会員や実行委員、参加者の皆様に多大な敬意と感謝を申し上げます。またメキシコ側のベアトリス氏、実行委員、通訳の方等沢山の方に大変お世話になりました。深く感謝を申し上げます。
(佐藤淳一)

講義・ワークショップ

メキシコ展で講義・ワークショップ

 グアナファト大学のギャラリー近郊にある別キャンパスを会場に、講義とワークショップを行いました。講義は長沢晋一さんと星晃さんが担当し、日本人通訳の方を交えて1時間半、写真を見せながらの講演となりました。定員40名ほどの会場は、大学で学ぶ学生、教授や出品者の方など多くの参加者で超満員となりました。スライドで世界地図を見せながら「日本とメキシコは隣国です」と伝えると、メキシコの皆さんは、「あ~」と、うなずいていらっしゃいました。CAF.Nの歴史やこれまでの活動の詳細、日本のアート のお話を、皆さん大変興味深く聴いておられました。最後の質疑応答では、「運営費はどうしているのか」「私も参加したいのですが、どうしたらよいか?」など、積極的な質問がありました。私たちは国を超えてアートを発信していく同志であると、心が一つになりました。
 ワークショップは「日本の画材を使って、水墨画を描こう」というタイトルで、3時間の実習を行い、美術学部の学生など20名が参加してくださいました。ねらいは3つあり、「日本の画材(墨・筆・和紙)を体験する」「水墨画の基本的な技法に触れる」「水墨画の技法を自由に用いて画仙紙に作品を描く」という構成で行いました。
 はじめに日本の水墨画や画材を紹介し、日本のメンバーの手ほどきのもと、実際に墨を硯で磨っていただきました。自分で磨った青墨を彩色筆に含ませ、半紙に点や直線を描き、筆の持ち方やいろいろな線の描き方をマスターしました。次は墨の濃淡表現と、四君子をお手本にした運筆練習です。濃墨を水で薄めて5段階に調墨し、濃淡のある線の描き方を実践していただきました。竹や蘭を描くデモンストレーションは大変緊張しましたが、興味を持って見ていただくことができほっとしました。
最後は、半切サイズの画仙紙に自由に水墨画を描いていただきました。皆さん作家の眼差しで、真剣に画面と向き合っていました。のびのびとした直線や曲線、滲みやかすれなどの表現を自由に使いながら、細長い画面を生かした構図で、個性あふれる作品が完成しました。言葉は通じなくても、心の表現を引き出す水墨画を通して、思いが伝わり楽しい時間を共有することができました。(ワークショップ担当 野村直子)


2019 CAF.N メキシコ展 追記

概況

2019CAF.Nメキシコ展は、グアナファト大学ギャラリーの展示終了後、10月18日~11月17日セラージャ文化館ガレリア ホセ・アルベルト・マンリケとガレリア・テレサ・デル・コンデでセラージャ展を開催しました。本展は、アルマシガ(メキシコ側実行委員会)の企画で実現した巡回展です。
 セラージャの街は、グアナファトから約80km南東に位置します。街の中心部セントロにセラージャ文化館が在り、教室、工房、展示会場、ギャラリーの文化施設があり市民に開放されています。その建物の全体はサン・アグスティン修道院と呼ばれ、メキシコの一般的な石と漆喰で作られた、歴史を感じる建物です。
 文化館の内部は光が閉ざされ薄暗く、回廊を進むとギャラリーがあります。入口にセラージャ展の趣旨文章のパネルが掲示されていました。展覧会の会場は大きく3つの空間に分かれています。第1室と2室は、白壁とベンガラ色の壁の空間で、ベンガラ色が新鮮に感じました。最後の3室は、天井が高く石のむき出した柱の在る空間です。変化の在る展示空間は、修道院の建物空間を利用したギャラリーであることが感じられ、グアナファト展の大学ギャラリーと展覧会の印象が大きく変化しています。メキシコの修道院という特殊な場、歴史のある展示空間は有意義な経験と思いました。同時に作品の会場構成が大きく影響していると感じました。例えば立体作品はケース内に設置、インスタレーション的な作品を3室の空間に的確に構成しているなど、会場構成はガレリアのキュレーター、ナオミ・モラレス氏によるものです。
 展覧会初日は、オープニングセレモニー、ギャラリートーク、出品者のパフォーマンスが行われました。翌 日の講義は、レオン市に移動して、グアナファト大学レオン校舎のホールで行われました。定員200人程度の 規模のホールで、聴講者は数十名と少なかったのですが、講義後の質疑応答でCAF.Nの活動に対して興味深い質疑が交わされました。そして11月17日に、展覧会の閉会式はセラージャ市の創立際の枠組みで幕を閉じたと連絡が届き、8月からの2019CAF.Nメキシコ展が閉会しました。(2019 CAF.Nメキシコ展実行委員)