2013 CAF ネビュラ展
2013CAFネビュラ展 開催要項
主 催 | CAF.N 協会 2013CAF.ネビュラ展実行委員会 |
会 場 | せんだいメディアテーク 5階展示室 |
会 期 |
開館時間:10:00〜19:00 但し、11月10日(日)17:30、最終日:16:00まで |
企 画 | アーティストトーク(展示会場内) ・2013年11月10日(日)11:00〜12:30 |
講演 アーサービナード氏(詩人・随筆家) ・2013年11月10日(日)14:00より |
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レセプション | 2013年11月10日(日)17:30より 会費3,000円 |
2013 CAF ネビュラ展 in せんだい | 講演(特別企画 |
プリント用PDFファイル 15.7mb |
プリント用PDFファイル 4.2mb |
企画
講演 アーサービナード氏(詩人・随筆家) | アーティストトーク(展示会場内) |
CAFの流れをふり返って
1960年代から70年代にかけての芸術の変動(転換期)が、日本の美術界を動かし、旧来型の制作発表に飽きたらない作家達は、新しい展開に身を投じ始めた。埼玉に於いても県立美術館設立の構想の浮上とともに、〝埼玉に新しい文化の流れを〟起こすべく、美術家、書家、詩人、音楽家、舞踊家、学識経験者、愛好家などの参加により1971年「埼玉・新しい芸術の会」が五月女幸雄の呼びかけで結成された。そして1978年に「埼玉・美術の祭典」が埼玉会館で産声を上げた。実行委員会を中心に議論を重ね、新企画や運営を試み、公開審査によるコンクールを設け有望な新人を掘り出し会が充実していった。1982年11月に埼玉県立近代美術館が開館し、83年からは近代美術館で開催することとなった。各展覧会ごとにテーマを掲げ、各自が表現の独自性を試み、シンポジウムを開催し、色々な方向から社会と美術の関わりに取り組んでいった。
本間正義、瀬木慎一、三木多聞、大島清次、林紀一郎、ヨシダヨシエ、金沢毅、田中幸人、谷新、酒井忠康、建畠晢、南島宏等の多くの美術評論家から展覧会ごとに協力的支援を頂き、一気に全国レベルの質と広がりをもつ展望ができた。1985年「現代美術の祭典」88年にプレを開催し89年より第1回のCONTEMPORARY ART FESTIVAL(CAF)を開催していった。10年ごとの組織変革で内容を一新、メンバー検討委員会を機能させ、マンネリ化防止をはかり、新世代が入り、現代美術の表現を社会に問う運動体として活動が盛んになっていった。加えて海外での企画も増加し、多数の在外作家の招待出品を行った。作家主体の運営と美術を通じ常に社会に問い続ける姿勢はユニークな活動として知られCAFの主張と目的が理解され、優れた作家の参加希望が多数増加していった。
従来の美術という概念の崩壊は回ごとに見られ多方面に分化することが明確にしめされていった。「現代美術の表現とコンセプトの問いかけを、社会での理解、浸透を目指していく運動」がCAFのポリシーと性格であった。①作家主体による企画と運営 ②参加メンバーは固定せず年度ごとに組み立てる ③展覧会のプレゼンテーションは学芸員などの専門家を入れ一般鑑賞者側に立った展示とする。 ④アートフォーラム、アートトーク、特別企画、コラボレーション等を取り入れコミュニケーションの深まりを計る。以上のことは故高木康夫代表時代の運営の要点でありその後さらに改善され現在のCAF.Nに引き継がれている。そして我々参加作家はアイデンティティーと共に積極的に発言し活動することが必要となってきた。特に本年度より事務局体制が変わり、今までの事務局長、副事務局長を廃しヒエラルヒーを無くし、トップダウンの提言をやめ本部事務局の各部署25名で意見を底辺から積み上げることとなり透明感のある運営ができ、企画委員会と一体化し、今後の活動は平等で総意によるものとなり成果が大いに期待されるところである。
CAF.N(NEBURA)の時代も今年10年目となり、埼玉近美リニューアル工事のため本展では初めて埼玉を離れて仙台で開催することになった。今回の仙台展では、われわれの現代美術がどのような力を持つことが出来るのか、美術の役割を問うものになるであろう。会場のメディアテークでの作品の融合も楽しみにしている。長年黒川紀章の空間にあったCAF.Nが伊東豊雄の建築の精神性と詩情性の広がりの中で各作家作品がいかに響きあい、芸術が被災地で“人間と自然”にどのような問いかけをするか、芸術の永遠のテーマと人類の根本問題も提示することが出来よう。
ひと山越えたCAF.N
1983年に「埼玉美術の祭典」(CAFの前身)が埼玉会館で第1回展を立ち上げて以来、今年で30年を迎えると聞いて、いつの間にか過ぎ去った時間の重みに驚くばかりであった。当時この企画展は他と比べてたいへんユニークな存在であった。会場では美術作品ばかりでなく、書や工芸作品等も加えた総合展であることや、現代美術系の評論家たちによる優秀作品の選考が公開審査で行われたりするなど話題性を持ったものとして注目された。
昨今美術界では、自分たちが所属する公募団体の活動から離れ、作家同士の横のつながりから生まれた“超党派”的グループ展が各地で多く見られるが、3 0年前のCAF展はまさしくそのスタイルのパイオニアだったと言えるだろう。本展は回を重ねるごとに内容を改良し、1987年には「現代美術の祭典」と名称も内容も一新して大型で洗練された現代美術展に変身したのであった。こうした作家主導の美術展の功罪にはいろいろあるが、もっとも気をつけなければいけないのは、主要メンバーによる独裁的傾向と時間の経過によって生じるマンネリズムであろう。つまり自己批判精神と作品の質的向上意欲の欠如が、展覧会自体を一種の「仲良しクラブ」にすることである。この点に注意し、風通しの良い窓を常に開けて外からの視線を意識しながら、時代精神に基づいた独自路線を進めば、閉塞した日本の美術状況の中にあっても、一つの美術運動として歴史を作ることができるのである。そしてそれをやり遂げたのが、いずれも故人となった高木康夫氏や丹下尤子氏などを中心とする執行部のリーダーたちであった。
私自身もこれまでほぼ40年に亘って美術展の企画運営に関わってきたが、その間何度も失意と喜びを繰り返し、反省と奮起の連続であった。そうした中で、決して忘れなかったのは「この企画の責任者は誰か。失敗したら誰が責任を取り、成功したら誰が名誉を受けるのか」ということであった。日本の美術状況下ではこの点あまり問題視されることがなく、失敗しても成功しても個人名が出ることはほとんどない。展覧会名と会期会場名が分かれば、あとは誰が主催者で、誰が企画者かは問わないことが多いが、こうした現象は「日本は文化においては三流国である」と言われることと無縁ではない。これは「批評行為」の不在から生まれるもので、我々日本人は基本的に公の場で何かを批評したり、またはされたりすることを好まない特質を持っている。しかし「アートの価値は言葉によって発生し、言葉によって消滅する」ということを忘れてはならない。人が作った不確かなものに価値を与えるのはやはり人である。「アート」への入り口は広く、誰でも容易に入ることができるが、一方出口はたいへん狭く、ごく少数のものしか出ることができない。
作家主導の展覧会は大体が短時間で組み立てられた人脈中心の企画で、一種のプロデュースでもあることから、組織としての永続性や対外的信用、また将来への展望といった意識が低いのが普通である。「CAF. N」はこの点長期にわたる実績と、基本財産は無くとも組織体としての実体を有し、定期的事業を展開していることなどから見て、美術界からの信頼感及び美術界での存在感に充分繋がるものを持っていると判断できる。
マンネリ化を避けるための自浄努力を常に意識し、実験と冒険の精神を忘れることなく自信を持って進まれるよう、設立30年の節目に心から祈念する次第です。
ネビュラの可能性
CAF.NのNはNebula(ネビュラ)の頭文字で星雲の意味、アートの交流が渦巻状に展開されることと、充満したアートのエネルギーが新しい時代に生きる人たちに届くことを願って名付けられました。
CAFは1978年以来、埼玉美術の祭典、第一次CAF、第二次CAF展と呼称を変更しながら、現代美術のコンセプトと表現の問題を社会に問う運動を展開してきましたが、現在これに加え、地域とアートの交流、さらに国際交流の方向性を中軸に位置づけ、活動の密度を高めていこうとしています。
それは、一極集中の進歩発展的思考に見直しがかかり、個人や地域の独自性が求められている現在、アーティストの自由で純粋な思考が、硬直化した地域の現状を打破する糸口を生み出せるかも知れないし、また、海外の異なる文化状況の中で創作された作品に接することによって、新しい時代のパラダイムを探すためのヒントを見付けることができるのでは、と考えるからです。
展覧会開催の歴史
1978-83 | 埼玉美術の祭典(6回) |
1984-87 | 現代美術の祭典(4回) |
1988 | 現代美術120人展(Pre-CAF) |
1989-91 | Contemporary Art Festival(CAF)(3回) |
1993-2003 | Contemporary Art Festival(CAF)(10回) |
CAF ネビュラ協会のプロジェクト
2004.7 | アイスランド、日本現代美術展(アイスランド、ハフナルボルグ美術館)40作家参加 |
2004.11 | CAF.N協会創立展(埼玉県立近代美術館) |
2005.4 | CAF.N京都展(京都、ギャラリーそわか) |
2005〜11 | CAF.ネビュラ展(埼玉県立近代美術館) |
2006・08・10・12 | CAF.N横浜展(横浜市民ギャラリー) |
2006.4 | 2006CAF.N ミシガン展(ミシガン大学ギャラリー/アメリカ) |
2006〜11 | コンパレゾン展(グランパレ、パリ) |
2007.2 | CAF.N銀座展(東京・銀座、ギャラリー風) |
2007.5 | CAF.N松江展(島根県立美術館) |
2007・09 | CAF.N仙台展(せんだいメディアテーク) |
2008.4 | CONTEMPORARY ARTISTS OF JAPAN(ノースアリゾナ大学ギャラリー、USA) |
2008.5 | 2008 CAF.Nラトヴィア展(リーガ国立海外美術館、ラトヴィア) |
2010.11・12 | 2010 CAF.Nびわこ展(大津市歴史博物館) |
2011.5 | CAF.N金沢展(金沢21世紀美術館) |
2012.8 | CAF.N熊本展(熊本県立美術館) |
2012.11 | コンパレゾン展(グランパレ、パリ) |
2013.6 | CAF.Nびわこ展(大津市歴史博物館) |